冷蔵庫から出してすぐに塗れる、ビーガンバター。
トーストしていない常温のパンにも塗り広げられる柔らかさに仕上げています。そして、口に入れた瞬間に舌の上でバターが溶ける…♪ もちろん、トーストにも。
このバターは『パンに塗って美味しい!』に主眼を置いていますが、お菓子作り/パン生地作りにも活用できます。しかしながら、不向きな用途もございます。詳しくは本文で。
100%プラントベースでも、こんなに美味しい。パンにはバターが欠かせない!という方には絶対おすすめのレシピです。
♦このレシピでは、ミキサー、ブレンダーまたはフードプロセッサーなどの高速で攪拌ができる調理器具を使用します。
では、さっそくまいりましょう。
材料は?

■無香ココナッツオイル
常温でも固まる特性を利用します(融点は約24°c)。
ココナッツオイルには安価な調理用、エクストラバージン、無香タイプ。それから、常温でも固まらない液体タイプ等…色々あります。
一般的なバージンやエクストラバージンにはココナッツ特有の香りと味があり、もし、これら使ってしまうとバターの風味はどこへやら、ココナッツ味になってしまいます。
このレシピには必ず、無香(無臭)タイプのものを選んでくださいね。常温で固まらない液体タイプも、もちろんNG❌
ココナッツオイルは必ず、無香(無臭)タイプを使う。
英語パッケージの場合:
- 【refined】精製された
- 【deodorised】脱臭された
- 【neutral taste/flavour】くせのない味
などの表記があれば、無香タイプです。
■クセのない食用油
ココナッツオイルのみでは、仕上がりが固くなりすぎてしまうので、液体の油も入れて少し柔らかさを出していきます。
使う油は米油や菜種油など、味にクセのないものを選んでください。オリーブオイルは主張が強いのでNG❌
できるだけ、本物のバターに近い味を目指します!
■無調整豆乳
豆乳に酢を足して、凝固(凝乳)させることによって簡易なビーガンバターミルク風を作ります。
これがビーガンバターの風味の元になります。
新鮮な(開封したての)無調整豆乳を使用してくださいね。古い豆乳を使うと完成品のバターが傷みやすくなってしましますよ。
バターミルクって何ぞや?という方に。→Wikipedia: バターミルク
■リンゴ酢 (apple cider vinegar)
上記でお話しした、豆乳に入れるお酢。
リンゴ酢以外にも、米酢・白ワインビネガー・ココナッツビネガー・レモン汁で実験していますが、リンゴ酢がベスト。米酢は一番向きませんでした。
酸っぱい!とは感じないくらいのごくほのかな酸味。これが、あるとないではやっぱり違うんですよねぇ…。このバターは、基本パンに塗る(加熱しない)ので強すぎる酸味には要注意ですが、やっぱり必要要素です。
■粉末アーモンド
アーモンドの持つ自然な甘みや豊かな油脂感を加わえ、バター風味に近づけます。
パウダー、フラワー、ミール、プードル…名前がいろいろあって、ややこしいですが基本どれも一緒です。このレシピでは、皮のついていない黄色いタイプのものを選んでくださいね。
スーパーの製菓コーナーに売っているようです。
📝滑らかな食感を求め、市販のアーモンドペーストでも試してみました。が、結果はNG!!
食感は最高なのですが、皮付きのため味に渋みが出てしまうのと、茶色い粒粒の見た目がよろしくありませんでした。
■塩
適度な塩味が必要です。普段お使いのお塩で。できることなら、自然塩をお勧めします。
■ニュートリショナルイースト(あれば)
味に深みを与えます。使用量は少しなので、チーズっぽくなることはありません。お持ちであればぜひ加えてください。
ニュートリショナルイーストに関して詳しくは、こちらの記事をどうぞ。
■ターメリック(お好みで)
色付けです。本物のバターは少し黄味がかっていますよね。入れないと、白いバターになります。
見た目は気にしない。という方は入れなくてもOKです。


作り方とコツなど
まずは、下準備…
►豆乳にリンゴ酢を入れて軽く混ぜます。そのまま10分置いておいてください。
10分置いておくことで、豆乳のたんぱく質をしっかり凝固させます。この間に風味も形成されます。

この10分の間に、ココナッツオイルの準備、その他の材料の計量をしましょう。
►ココナツオイルはスプーンやナイフで削り取れる硬さなら、そのまま(固まったまま)で計量。その後、湯銭または電子レンジで8割方溶かします。あとはグルグルかき混ぜて余熱で残りを溶かしてください。
実はこの工程が、重要です。ココナッツオイルの温度が高すぎると、バターが冷蔵庫で固まるまでに時間がかかってしまいます。その結果、バターが固まる前に油分と水分が分離してしまうリスクが高まります。
夏場、もうすでに透明になって完全に溶けているよ!という場合でも、そのくらいの温度であれば、そんなに神経質にならなくて大丈夫です。
冬場、オイルがガチガチに固まっていて計量前に湯煎等する場合は、加熱のし過ぎにご注意ください!
では、作っていきましょう。
►凝固させた豆乳、熱すぎないココナッツオイル、その他残りの材料をすべて一緒にして攪拌。しっかり乳化※させます。ミキサー、ブレンダー、フードプロセッサーいずれでもOK!
※乳化とは、本来混ざり合わない水と油が、均一に混ざり合っている状態のことを指します。

►しっかり乳化できたら、保存容器に移して、冷蔵庫へ。
もしこの時点で、バターの温度が高いのが気になるならば、冷凍庫で急速に温度を下げるのもありかもしれません。

保存の方法
清潔な容器に入れ、冷蔵庫にて10日~2週間ほどは保存できます。
このビーガンバターは、冷凍保存も可能です!
使い方、いろいろ
記事冒頭でも触れましたが、このレシピは、”パンに塗りやすい” ”パンに塗って美味しい” を優先しています。

しかしながら、バターを柔らかくして、砂糖と粉とざっくり混ぜるようなお菓子にも使えます:粉末アーモンドが入っていても気にならないようなクッキー、マフィン、パウンドケーキなど。
パン生地作りにもお使いいただけます。菓子パン、ロールパンなど美味しく焼けます。
このバターの水分量は約30%です。一般的な本物のバターの水分量15-18%に比べて多くなっています。パン生地にお使いになるときは、加水の調節が必要です。
このバターを使ったレシピ
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注意事項。
残念ながら…
このバターは、ソテーや炒め物には向きません。フライパンで、バターを溶かし加熱するとアーモンドがそぼろ状になって出てきます。ご注意ください。
料理全般、パイやクロワッサンなどの折り込み用には、別レシピのバターを使用しています。粉末アーモンドは入れず、乳化剤を使用したものを作っています。こちらのレシピもまた機会を見て、公開いたしますしました。↓↓↓
ココナッツオイルと豆乳を主材料として作る乳成分ゼロのプラントバター。 以前『パンに塗る!ビーガンバター』というレシピを公開していますが、手に入れやすい材料で簡単に美味しく作れる反面、汎用性には欠けるんです…。(←いやいや、とはいえパ[…]
それでは、レシピカードをどうぞ。
バターを冷やし固める時間は、調理時間に含まれておりません。

パンに塗る!ビーガンバター
材料
- 無調整豆乳 100 g
- リンゴ酢 小さじ 1
- ココナッツオイル (無香タイプ) 130 g
- クセのない食用油 45 g
- 粉末アーモンド 40 g
- 塩 (4g) 小さじ ½強
- ニュートリショナルイースト (あれば) 小さじ 1
- ターメリック (お好みで) 少々 (0.1g)
手順
下準備
- 豆乳にリンゴ酢を入れて軽く混ぜる。そのまま10分置く。10分置くことで、豆乳のたんぱく質をしっかり凝固させる。風味の形成。
- ココナッツオイルが固まっている場合は、湯銭や電子レンジなどで溶かしておく。※加熱し過ぎないこと!
作り方
- すべての材料を、お手持ちの調理器具で攪拌。乳化させる。ミキサー、ブレンダー、フードプロセッサーいずれでもOK!
- しっかり乳化できたら、保存容器に移して、冷蔵庫に入れる。バターが冷えてしっかり固まれば完成!
コツ・ポイント / その他の追加情報
あなたの写真をぜひインスタグラムで見せてください!
ハッシュタグ:#えだまめキッチン
タグ付けをお忘れなく。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
xoxo Lily
今日、3回目を作りました。
簡単で美味しくて、こちらのレシピを発見して以降、もう市販のビーガンバターは必要なくなりました。
レシピ通り作ると、(私が使っている)バター容器以上の量になるので、入り切らなかったバターには一番糖(粒がグラニュー糖くらい大きい)を混ぜて、小さな容器で保存しています。フランスパンに挟むと、市販のミルクフランスよりもずっと美味しい。
えだまめキッチンさんのレシピはどれも研究し尽くされた完成度で、こんなレシピを無料で公開していて良いのだろうか?と思います。勝手に使わせていただき、ありがとうございます。
(いつかレシピ本として発売されたら必ず買います。)
私はインスタを使っていないので、何の宣伝もできませんが、ひっそり応援しています。
たくさんのうれしいお言葉、ありがとうございます。
砂糖を混ぜて保存、とてもいいアイディアですね。想像するに、絶対美味しい😋保存性も高まりますし!私もさっそく試してみます。
そして、一番糖というものを知らなかったので勉強になりました。
こうして、ここにコメントしてくださることはとっても大きな応援になっていますよ!
これからも、ほそーくながーくどうぞよろしくお願いいたします😉