さっそくですが、みなさん ニュートリショナルイースト をご存知でしょうか?
「ニュートリショナル」は、『栄養の』という意味。
「イースト」とありますが、パンなどを発酵させるイーストとはちょっと(だいぶ!?)違います。
ビーガンやプラントベースを実践している人々が摂取しにくい【ビタミンB12】を多く含んでいるため、こういった人たちからとても重宝されている食品です。
では、詳しく見ていきましょう!
ニュートリショナルイーストとは
不活性化酵母
ニュートリショナルイーストは、
サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)という酵母を、サトウキビやテンサイからできる糖蜜で培養し、その後、乾燥加熱などの加工をして不活性化させたものです。
このような黄色いフレーク状をしています。(パウダー状、顆粒もあります。)
この酵母、実はパンの製造やビール・ワインの醸造に用いられる酵母と同じ種類なんです。
しかし、ニュートリショナルイーストは不活性化されている酵母なので、パン作りにもお酒造りにも使えません。発酵させる能力はないのです。
わかりやすく言えば、
▪ニュートリショナルイースト:死んだ状態
▪製パンに使うドライイースト:眠っている(が、生きている)状態
=水分を与えることで起きる
ということになりますね。
同じ種類の酵母とは言え、食品としては全くの別物なので、どちらかをどちらかで代用することはできません。
どんな味?
ニュートリショナルイーストの味は多くの場合、
- チーズのような (cheesy)
- ナッツのような (nutty)
と表現されます。実際、その通りだと私も思います。
普段は料理に使ってしまうので、それ自体を単体で食べることはないのですが、いま改めて、そのままの状態を指でつまんで口に入れてみました!
口の中の水分、奪われるわー。
これが、リアルな感想です!やっぱりチーズっぽい味するんです。
そして、何とも言えぬ、ジャンクな(?!)旨味が楽しめます。
チーズじゃないけど、チーズ風味。ジャンクじゃないけど、ジャンク風味。
なんとも面白い食品です!
香りは?
ニュートリショナルイーストには独特の香りがあります。
ほとんど感じない/気にならないという方もいますし、これまた、チーズみたいという人もいます。
中には、「臭い」と感じる人もいます。
正直なところ、私が初めて試したときは、後者でした。
料理に入れてしまえば美味しく頂けるのですが、毎度、開封する時の匂いが苦手で使わなくなりました。当時は、お肉もチーズも食べていたので必要性も薄かったのです。
それから数年後、ビーガンのお客様向けメニュー開発(仕事)で改めて手を出しましたが、やはり…どうしても、ダメでした。
またそれからしばらくして、プラントベースを実践し始め、匂いは気になりながらもニュートリショナルイーストを使い始めました。再度になりますが、料理に入れてしまえば匂いも気にならず美味しいのです。
現在、あの時の嫌悪感はどこへやら。慣れなのか、嗜好の変化なのか?今でも独特の香りを感じますが、まったく気になりません。
そのままサクサク食べられるくらいですからね! …参考までに、私の個人的な経験談でした。
味や匂いの感じ方は人それぞれ。千差万別。
私のように感じる人のほうが珍しいのかもしれません。
2つのタイプ
なぜニュートリショナルイーストは、ビーガン/プラントベース実践者に好んで使われるのでしょうか?
チーズ(っぽい)味を楽しめるから? いやいや 、それだけではないんです。ここでは、栄養のお話をしていきます。
ニュートリショナルイーストには、2つのタイプがあります。
栄養強化タイプ(fortified nutritional yeast)
- Fortified(フォーティファイド)=「栄養を高めた」「栄養強化した」
- 製造の過程で、ビタミンが添加される。
非栄養強化タイプ(unfortified nutritional yeast)
- 人工的にビタミンやミネラルなどは加えられておらず、酵母から自然に作られた栄養素のみを含む。
どちらも、ビタミンB1/B2/B6、カリウムなどが含まれます。
さらに栄養強化タイプには、ビタミンB12、葉酸も多く含まれます。
どちらのタイプか知りたいときは、原材料名を確認しましょう。ビタミンが加えられている場合は必ず記載があります。
栄養成分
栄養強化タイプが主流
一般的に多く流通しているニュートリショナルイーストは、栄養強化タイプです。
栄養素含有量については、製造している会社によって多少の差があるようですが、どの製品にもビタミンB群がとても多く含まれます。
ここでは、現在、私の手元あるアメリカBRAGG社 ニュートリショナルイーストの栄養成分表示をお見せしますね。
厳密には、輸入業者によってオーストラリア仕様になった栄養成分表示です。
下に日本語で読みやすくまとめました。
何か比較するのもがあった方が理解しやすいと思い、パルメザンチーズの栄養素も一緒に表示しました。
(ニュートリショナルイーストの栄養素に対応する部分のみ日本食品標準成分表 より抜粋。)
※表左側の二重線より下の栄養素:オーストラリア版の表示シールを剥がしてみたところ、製造元の表示に記載があったので表に組み込みました。
高たんぱく、脂質ゼロ!糖質ゼロ!
ビタミンB群の含有量も軒並み高いです。(詳しくは次章で)
そして、グルテンフリーです。小麦アレルギーの方も安心して摂取できますね。
パルメザンと比べると、脂質が含まれていないため低カロリー、
塩分もとても少ないです。※塩分相当量=ナトリウム×2.54
ビタミンB12
ビーガンやプラントベースを実践している人々が摂取しにくい栄養素、それはビタミンB12です。
なぜなら、
ビタミンB12は、動物性食品に含まれており(特にレバーや貝類に多く含有)、穀類、野菜、果物などの植物性食品には含まれていないからです。
日本人になじみ深い植物性食品、海苔(あおのり、あまのり、いわのり)には多く含まれているのですが、やはり動物性食品を食べない生活では、十分な量を摂るのは難しいでしょう。
ビタミンB12が不足すると、貧血になり、全身の倦怠感・疲労感が生じ、動悸や息切れ、立ちくらみなどを引き起こします。
さらに重度の欠乏症になると、神経の損傷が起きて、手足のしびれや痛みを感じ、運動麻痺などの症状が出ることもあるようです。
こういったことにならないよう、自然食品から摂取するのが難しい栄養素は、サプリメントや栄養強化された食品で必ず補っていかなければなりません。
そこで、ニュートリショナルイーストが重宝されているわけです。
大さじで軽く山盛り1杯でだいたい5gなので、
ニュートリショナルイースト小さじ山盛り1杯程度で、
ビタミンB12の一日必要量は摂取できることになります。
焼き海苔なら、一日3.5g(1枚から1枚半くらい)です。
美味しく食べよう!
ニュートリショナルイーストは、そのままで食べることができるので、とても手軽にとり入れることができます。
粉チーズの代わりに、お好みのパスタやサラダにふりかけるのが、いちばん簡単な食べ方。
お家でポップコーンを爆ぜて、塩と一緒に袋でシャカシャカ。市販のスナック菓子を食べるより、遥かにヘルシーです。
マッシュポテトの仕上げに混ぜ込んだり、カレーやシチューの隠し味にも使えます。
ニュートリショナルイーストを使ったレシピ
バジルソース(pestoペストゥ:イタリア語。英語も同じスペル)は、イタリアの北西部にある都市ジェノバに起源をもちます。日本ではジェノバソースやジェノベーゼソースとも呼ばれていますね。 本来は、バジル・松の実・にんにく・オリーブ油・パ[…]
とーっても簡単にできるチーズソースを、チーズを使わず作ります。 主な材料は、豆乳、ニュートリショナルイースト、もち米粉。 ※酵母を乾燥加熱などして不活性化させた、黄色いフレーク状の食品です。詳しくは、【チーズの代用品?!ニュー[…]
基本の材料は3つ:ナッツ、ニュートリショナルイースト※、お塩だけ。 3分で完成のビーガン粉チーズ。 ※酵母を乾燥加熱などして不活性化させた、黄色いフレーク状の食品です。詳しくは、【チーズの代用品?!ニュートリショナルイースト】ご覧ください。[…]
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ざっくり2文でまとめます。
►酵母を乾燥加熱などして不活性化させた、黄色いフレーク状(もしくはパウダー状、顆粒)の食品。
►ビタミンB12を多く含み、チーズのような味が楽しめるので、ビーガンやプラントベースを実践している人々から重宝されている。
普段は特に動物性食品の制限をしていない方でも、ダイエット中だけチーズをちょっと我慢して、ニュートリショナルイーストで代用なんていう使い方もよいと思います。
私が現在使っているのと同じ商品が 、アマゾンさん、楽天さんで購入できるようです。 容器から直接お料理にふりかけられるので使いやすいですよ。初めて使われる方にも、お手頃のサイズ(127g)だと思います。
日本では通販以外に、オーガニックや健康食品の専門店でニュートリショナルイーストの販売をしているそうです。お近くにそういったお店がある方、興味があればチェックしてみてくださいね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
xoxo Lily
【参考】What Is Nutritional Yeast?
【参考】Nutritional Yeast: Is It Good for You?