植物性ミルクといったら、何を思い浮かべますか?…豆乳がぱっと思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか。次に、アーモンドミルク、オーツ麦ミルクあたりですかね。
ここオーストラリアでも、スーパーマーケットのロングライフミルク*売り場に行くとたくさんの種類の豆乳を見つけることができます。アーモンドミルクも同じくです。その他にも、ライスミルク、(飲料としての)ココナッツミルク、オーツ麦ミルクなど、様々なプラントベースミルクが販売されています。
これらの市販の植物性ミルクは多くの場合、主となる材料と水以外にも、砂糖、塩、オイル、乳化剤や安定剤などの添加物が加えられています。もちろん無糖のもの、無添加のものもあり、加えられている副材料は製品によって様々です。
* ロングライフミルク:超高温加熱処理(UHT: ultra high temperature processing/ultra-heat treatment)によって常温未開封で最長6か月の保存を可能にした牛乳のこと。冷蔵で売られている牛乳とは別にロングライフミルク用の売り場があります。日本では一般的ではないかもしれません。
ちなみに、日本のスーパーで売られているような新鮮な(要冷蔵の)豆乳は、こちらでは一般的ではなく、そういった豆乳が買いたい場合はアジア系食品店に行かなくてはなりません。
私はいまだに、また買いたいと思えるロングライフのアーモンドミルクに出会ったことがありません。簡単に作れるフレッシュなアーモンドミルクの方が遥かに美味しいんですよね。自家製なら、濃度も調節可能だし、甘くもできれば、塩味にだっててきます。そして無添加。
あと、このミルクで作るアーモンドヨーグルトも美味しいんですよ。ヨーグルトレシピについては記事の最後で触れてます。
そんなこんなで前置きが長くなってしまいましたが、
今回のレシピは、アーモンドと水だけで驚くほど簡単に作れる「自家製アーモンドミルク」。
そして、このレシピを基本として押さえれば、あとはお好きなナッツや種子で色々な種類のプラントベースミルクが作れますよ。『ナッツミルク/シードミルク+オーツ麦ミルク 計16種。作ってみた!!』にあなた好みの植物性ミルクのヒントがあるかも知れません。
♦このレシピでは、ミキサーを使用します。
それでは、まいりましょう。
材料は?
▪アーモンド
塩などで調味されていない、生アーモンドを使います。
もちろんローストアーモンドでも作れますが、それなりに主張のある味、濃い色の仕上がりになります。実は、私はこのローストアーモンドミルクの味も大好きです。好き嫌いが、わかれるところかもしれません。
使い勝手の良さなら、生アーモンドで作るミルクでしょう。
ちょっぴり、余談: 生アーモンドは本当に “生”??
少し調べてみたところ日本で手に入るアーモンドは多くが、アメリカ・カリフォルニア産のようです。
アメリカでは2007年から、”生”アーモンドの殺菌が義務化されています。そのため、実際には熱処理/スチーム処理などが施されており『生アーモンド (raw almonds) 』と表記されていても、厳密には生ではないんです。ややこしいですね。(一部、化学的に殺菌しているものもあるようです。)
ここオーストラリアでも、ほどんどのアーモンドは熱/スチームでの殺菌処理が施されていますが、『未殺菌・生』のアーモンドも探すことができます。
私の感覚ではありますが、オーストラリアでは『 raw (生) 』という言葉を使わず、代わりに『 natural (ナチュラル) 』 と表記されている商品のほうが多いと思います。
…ということで、生と書いてあっても、本当は生じゃないかもしれないアーモンドのお話でした。
▪水
水道からジャーッと出てきた水、一度煮沸させた水、濾過した水、ミネラルウォーター。どうぞお好きな飲用水をお使いください笑
基本の材料は、『アーモンドと水』この2つだけ!
あとは必要に応じて、
▪塩
▪砂糖やメープルシロップなど
▪シナモンなどのスパイス
▪バニラ香料……
などお好みの副材料を加えて味付けしてください!
作り方とコツなど
まずは、下準備…
►アーモンドをたっぷりの水に浸けて、常温で一晩(8-12時間)おきます。※水を吸ってアーモンドの粒が大きくなるので、ある程度、余裕のある容器を使ってくださいね。
その後、浸けていた水は捨て、一度きれいな水ですすいでから、しっかり水を切りましょう。
アーモンドを水に浸ける理由については、別記事【ナッツや種を水に浸ける理由と浸水時間の目安】にて説明しています。ご興味のある方は、ご一読ください。
►(必要に応じて)アーモンドの薄皮を剥きます。親指と人差し指でアーモンドと押し出すようにすると、つるっと簡単に剥けます。中には、皮と中身がしっかりくっついて剥けにくいものあります。
皮を剥いてアーモンドミルクを作ると仕上がりの白いミルクになります。味はすっきりクリーン。
皮を残したまま作ると、少しベージュがかった色のミルクができます。味は少し深みがあって複雑な味。特に、目立った渋さや苦味はありません。
このミルクを使って白い色のクリームを作りたいなど、色を重視する場合は皮を剥くといいと思います。味は、完全に個人の好みですよね。私は、後者の味が好きなのですが、今回はこの工程をお見せするために、皮をあえて剝いています🤗
では、作っていきましょう。
►下準備を終えたアーモンドと水をミキサーにかけて滑らかにする。
►ナッツミルクバッグで濾す。
グーグルさんにお尋ねしてみたところ、ショートストッキングや網目の細かい排水溝ネットなどで代用している方もおられるようです。私は使ったことがないので、どれくらい滑らかに絞り出せるのかわかりませんが、想像するに使い勝手が良いとは言えなそう…。でも、とりあえずの代用品としてはありかなと思います。
もし今後も、自家製のナッツミルクを作るのであれば高価なものではないですし、一つ持っておくと便利ですよ。サイズが色々あるので作るミルクの量によって選ぶと良いと思います。素材も、ナイロン・綿・麻などあるようです。
ちなみに今回私が使っているのは、約30㎝×45㎝ナイロン製のものになります。バックの上部を折り返して使っているくらいなので、深さのない30㎝×30㎝サイズ位でもよいかと。ご参考までに。
ナッツミルクバッグを大きめのボウルに置いて(上写真)ミルクをすべて注ぎいれる(下写真)。
※絞る時に多少ミルクが飛び散るので、私は大きめのボウルを用いています。
あとは、バックの口を絞って、両手を使ってミルクを絞り出していきます。ギューッと、ギューッとこれでもかっていうくらい絞り出したら完成です。これだけ!なんて簡単!!
これより濃厚なミルクがお好み場合、次回は水を減らす又はアーモンドを増やす。
淡泊なミルクがお好みの場合、水を増やす又はアーモンドを減らす。分量を調節してお好みの濃度を見つけてくださいね。
ミルクの副産物、パルプ。
ミルクを絞った後に、バッグの中に残る搾りかすのことを英語でパルプ(pulp)といいます。この場合はアーモンドパルプ。豆乳でいうところのおからです。ちなみに、おからは英語でソイミルクパルプとかソイビーンパルプって言います。
搾りかすって呼ぶのはなんなので、パルプって呼ばせてください。笑
そして、このパルプ、おからと一諸なので食べられます!捨ててしまってはもったいない。
しかしながら…このパルプ正直なところ、単体ではあまり美味しいとは思えない(←超私見です)。そりゃそうですよ、美味しいところの大部分はミルクに持っていかれましたもの。だから、他の食材と合わせて上手に使う必要があります。
そんなわけで、アーモンドパルプを使った美味しいレシピも用意しております。
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アーモンドパルプの賞味期限は、本体のミルクと同じく短いです。冷蔵庫で5日間くらいでしょうか?
しかし、冷凍保存ができるので、すぐに使う予定のない場合は冷凍用の保存袋やラップで包むなど空気に触れないようにして冷凍庫で保管しましょう。使う前に、自然解凍。
フードドライヤーやオーブンの低温で乾燥させるという方法もありますが、私は手軽にできる冷凍保存派です。
アーモンドヨーグルト
このミルクを使って、アーモンドヨーグルトを作ることができます。
作り方は、『さっぱり味のココナッツヨーグルト』のココナッツミルク+ココナッツウォーターの分量をアーモンドミルクに置き換えるだけでOK!
アーモンドヨーグルトは、少し甘くしてバニラペーストを加えて食べると、すごーくおいしいですよ♪
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それでは、レシピです。
材料
- アーモンド 250 g
- 水 1 リットル
手順
下準備
- アーモンドを分量外の水に浸けて、常温で一晩(8-12時間)おく。その後、浸けていた水は捨て一度きれいな水ですすいでから、しっかり水を切る。
- (必要に応じて)アーモンドの薄皮を剥く。※薄皮はついたままでもかまわないので、この工程は用途や好みに応じて行ってください。
作り方
- 下準備を終えたアーモンドと水をミキサーにかけて、滑らかになるまで攪拌する。
- ナッツミルクバッグを使って、ミルクをしっかりと絞る。完成。
コツ・ポイント / その他の追加情報
あなたの写真をぜひインスタグラムで見せてください!
ハッシュタグ:#えだまめキッチン
タグ付けをお忘れなく。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
xoxo Lily
アーモンドミルクが必要で、スーパーの添加物入は躊躇してました。
簡潔かつ丁寧な説明で、参考になりました。
ありがとうございます。
木田さん
こちらこそ、コメントいただきありがとうございます。
お役に立てたこと大変嬉しく思います。
リリィ
こんにちは、
アーモンドミルク、作ってみました。市販のものとは比べ物にならないくらい、おいしかったです。豆乳のように攪拌してから火を通さなくていいのですね。その分アーモンドミルクの方が、作るのは簡単ですね。でも火を通したら、味に深みが出るのでしょうか。興味本位だけで試すには、アーモンドの値段が高すぎて…。
こんにちは。コメントありがとうございます。
市販のものとは違って、自家製ミルクはアーモンドの味が濃厚でおいしいですよね!
「大豆などの豆類は基本的に生食ができないため加熱必須。ナッツやシードは豆と違って加熱しなくても食すことができるので火を通す必要なし=手軽に作れる」という感覚だったので、アーモンドミルクを攪拌後に加熱してみようという発想がありませんでした。
出来上がったアーモンドミルクを加熱して使う経験から想像するに…攪拌後に加熱しても味が大きく変わるということはないのではと思います。あくまで想像なので、検証比較したら違うかもしれませんが。
加熱といえば、記事の中でも軽く触れているのですがローストアーモンドで作るとまた印象の違うアーモンドミルクになります。味わいが深く少し主張のある味。私個人的にはこちらも美味しくて好きです。
市販のローストアーモンドを使ってもいいですし、ご自身でローストすれば煎り具合が調節できるのでこちらもおすすめです。ロースト度合いが深ければミルクの味の主張も強くなります。ローストし過ぎにご注意を!笑
もしよかったら、試してみてくださいねー。
早速自分でローストして、アーモンドミルクを作ってみました。おいしかったです。ローストした分、香りが引き立って、”甘さと深い味さ”という言葉がぴったりだと思います。大量にできたパルプでクラッカーも作りました。質問ですが、このレシピ通りにアーモンドミルクを作った場合、何gのパルプができますか?私は指が腱鞘炎なので(悲しい)、しっかり絞り切るのが難しく、150gのアーモンドを使用して、280gのパルプができました。で、絞り器の購入を検討中です。
ローストアーモンドミルクもおいしかったのこと!よかったです。
レシピ分量で、しっかりとミルクを絞り出すとパルプの量は200gほどになります。使ったアーモンドの重量より少なくなります。
しかしながら、ミキサーのパワーよっても結果は異なるかもしれません。パワーのあるミキサーのほうが、よりアーモンドが粉砕されミルクをしっかり絞り出すことができると思います。
アーモンドはしっかり浸水させることで、吸水し柔らかく粉砕されやすくなりますから、一晩しっかり浸水させることもポイントです。
浸水させると重量は1.35-1.5倍ほどになります。
腱鞘炎お辛いですよね。
私は絞り器の存在すら知らなかったのですが、そういった道具があるのならそれらを使って手への負担を減らすはとてもよいと思います。
悪化させぬようお大事になさってください。
…腱鞘炎ではないですが、私も手の病の経験者(手根管症候群を重症化させてしまい数年前に手術を受けました)です。