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コク旨。洋風野菜だしの取り方(ベジタブルストック)

洋風野菜だし ベジタブルストック

美味しいおだしは料理の要。一から取る野菜だしは、どうしても時間がかかってしまうのですが、お家で取るだしは一味も二味も違います。

今回のレシピは、動物性食材を使わない料理に重宝する「旨味とコクのある野菜だし(コクタイプ)」。フレッシュハーブも加えて香りを出した、洋風仕立てです。

深い味わいのだしを取るコツは、まず野菜をしっかりと炒めること。そして、最後には野菜のエキスを余すことなく絞り出します。

そして、同じ材料で作る「優しい味わいの野菜だし(あっさりタイプ)」の取り方も併せてご紹介しています。あっさりといえど野菜の旨味たっぷり。材料は同じでも、味わいが全く異なる2タイプを使い分けることで、料理の幅が広がります。

では、さっそくまいりましょう。

材料は?

洋風野菜だし(ベジタブルストック)の材料
材料のイメージ写真

▪ 玉ねぎ / 人参 / セロリ(茎の部分)
これらの3種が必須の基本野菜になります。

セロリは茎の部分を使います。葉の部分ももちろん使えますが、入れるなら少量。入れ過ぎるとだしを苦くしてしまいます。

基本の野菜に、冷蔵庫の中にある「ちょっと余った」「使い切ってしまいたい」野菜があれば加えることができます。

基本以外の野菜を加えることで、だしに深みや複雑味を与え美味しくしてくれます。しかし、野菜の種類/量に気を付けないとだしの味を壊してしまいかねません。

基本以外の野菜を加えるときのヒント

洋風だしに向く野菜:
◎長ネギ、リークなどネギ属の野菜(ニラを除く)
◎シイタケ、しめじ、マッシュルームなどキノコ全般

入れ過ぎに注意したい野菜(少量ならよき):
セロリの葉⇒苦みが強い
○トマト⇒酸味が強い・種から苦み成分が出ることがある
○ピーマン/パプリカ⇒苦みや独特の風味が強い
○ごぼう⇒独特の風味/アクが強い
○かぼちゃの皮⇒甘い+煮込むとえぐみが出ることがある
○大根*、白菜*、キャベツ*の芯、ブロッコリー*/カリフラワー*の茎 (場合によっては向かないこともある)

*印はすべてアブラナ科の野菜です。煮込むと甘くて美味しいイメージがありますが、もともと辛み成分や苦み成分を持った野菜です。個体差や収穫時期等にもよるようですが、特に鮮度が落ちたものは苦味が強まることが多いように思います。加熱調理しても苦いものの場合、少量でもだしの味に影響を与えることがあるので注意をしたい野菜です。

向かない野菜:
△かぼちゃ、じゃがいも、さつまいもなどでんぷん質を多く含む野菜⇒煮ると溶ける。でんぷん質が底に沈みます。
△煮るとドロドロに溶けるような葉物野菜
✕紫キャベツ、ビーツなどだしの色に影響を及ぼす野菜

その他、独特な香り/味の強い野菜は避けたほうが無難です。試したことはありませんが、ゴーヤなんか入れたら大変なことになりそうですよね笑

「玉ねぎ / 人参 / セロリ茎がメインである」ということを頭において、その他の野菜を入れましょう。

以上、思いつく野菜を例に挙げました。入れてはいけない野菜があるわけではありませんが、上記のヒントに沿って野菜を選べば作るたびに味が大きく異なるようなことはないと思います。余り野菜も上手に活用してみてくださいね。

今回は、冷蔵庫にブロッコリー(茎のみ使います)と、根セロリが少しあったので足しましたよ。

冷蔵庫の余り物野菜 <左>ブロッコリーの茎 <右>根セロリ

▪ オリーブオイル(もしくはその他の炒め油)
野菜が色付くらいしっかり炒めてから、煮ることで味に深みを出します。

▪ ニンニク
生ニンニクをスライスして使います。

▪ トマトペースト
ほんの少量いれてトマトの旨味をプラス。使う量は、下写真ひとかけの1/4程度。入れすぎるとトマト特有の酸味が立つので注意します。

私はこのように、いつでも手軽に使えるよう冷凍保存しています(一度、製氷皿で冷凍してから保存袋に入れる)。冷凍状態でも包丁で楽に切れる硬さなので、使う分だけ切り出します。便利ですよ。

▪ ローリエ
イタリアンパセリ (フレッシュ)
タイム (フレッシュ)
黒コショウ

ハーブを入れて香り高く。コショウで味を引き締めます。

ハーブはお好みで、フレッシュローズマリーやフレッシュタラゴンなどを入れてもいいですね。

※イタリアンパセリとタイムは生のものを使うことをおすすめしますが、どうしても手に入らない場合ドライハーブでの代用も可能です。

▪ 塩
普段お使いのお塩で。今回は、ヒマラヤピンク岩塩を使用しています。

作り方とコツなど

コクタイプ

にんじんは皮つきのまま使っていますよ。

►まずは、野菜を適当な大きさに切ってください。1.5~2㎝角くらいでしょうか?大体で構いませんよ。にんにくは3㎜程度にスライス。

► 厚手の鍋を中火にかけオリーブオイルを熱してから、野菜を炒めていきます。(写真1・2)

► 写真3のように、鍋底に野菜が焦げ付きだしたら大さじ1杯程度の水(分量外)を加えて、焦げをこそげ取るように炒め続けます。水が蒸発して再度焦げ付いたら、同じく水を加えて焦げをこそげ取る作業を繰り返してください。

PIONT

黒焦げにならないように注意しなければなりませんが、程良い焦げは味に深みを与えてくれるので、あえて少々焦げ付かせます。火加減は中火のまま。

► 玉ねぎがしっかり柔らかくなって程よい茶色に色付いてきたら(写真4)ニンニクを加えて2~3分更に炒めます。にんにくの香りが立ってきますよ。

全体を通した炒め時間は、15分くらいになると思います。

►次に、水・トマトペースト・ローリエ・粒黒コショウ を加えて強火にします。 (写真5)

►沸騰したら火を弱めます。この時点で灰汁が気になるようならすくい取ってください。(写真6)

弱火~とろ火で、45分程コトコト煮て下さい。火が強すぎると水分がどんどんなくなっていくので注意。

►45分経ったら、フレッシュハーブ、塩を入れてさらに15分。火加減はそのままで。(写真7)

►計1時間ほど煮たら火を止めて(写真8) 蓋をしてそのまま冷まします

鍋・ざる・濾し布を重ねて、だしを濾す準備。

※濾し布はなるべく目の細かいものを使用してください。大判のハンカチなどでも代用できると思います。私は、布屋さんでオーガニックコットンを購入し使いやすい大きさに切って(4辺を縫ったものを)濾し布として使っています。

※※ナッツミルクバックをお持ちなら、それも使いやすいと思います。油が付くので使用後はしっかり洗ってくださいね。

►完全に冷めたらだしを濾して(下左写真)さらに野菜に残っている旨味もすべて絞り出してしまいましょう。野菜は非常に柔らかくなっているので、 簡単に絞れます。

<右>野菜かす。こちらは捨ててしまいます。

↓↓ 野菜だし(コクタイプ)の完成です ↓↓

あっさりタイプ

動物性食材を使わないレシピでは、先に紹介しているしっかりとした味わいの「コクタイプ」のだしがとても重宝するかと思います。しかし、お料理によっては、主張が強過ぎることも…。そこで、「あっさりタイプ」のだしの取り方も併せてご紹介します。使う材料は同じ(オリーブオイルを除く)。

こちらのだしの取り方はいたってシンプル。本来の野菜だしの取り方といっていいでしょう。えだまめキッチンでは、だしは濾すだけでなく最後の一滴まで絞り出してしまいますけどね。

<右>沸騰してから20分後。コクタイプとは色がまったく違いますね。
  1. フレッシュハーブと塩以外のすべての材料を鍋に入れて強火にかける。
  2. 沸騰したら、火を弱め(弱火~とろ火)20分コトコト。その後、フレッシュハーブと塩を足してさらに10分。
  3. 計30分煮たら火を止め蓋をして、完全に冷ます。
  4. 濾し布などで野菜を濾して、搾って完成。
「コクタイプ」との作り方の違い
  • 野菜の切り方⇒玉ねぎとセロリは5㎜程度の薄切り(繊維を断ち切る方向に切る)。にんじんは3㎜程度の薄切り。
  • 材料は炒めず、水から煮出す。オリーブオイルは使用しない。
  • 火にかける時間が短く蒸発する水分量が少ない為、使用する水の量は少なくする。※出来上がりの量は、両タイプとも同じくらいになります。

両タイプ比較

野菜だしーコクタイプとあっさりタイプ。
<左>コクタイプ <右>あっさりタイプ

味わいだけでなく、見た目もこんなに違います。お野菜をエキスをしっかり絞ってもあっさりタイプは透明度が高く澄んでいますよ。

この2タイプを使い分けて、美味しいプラントベース料理に役立ててくださいね。

 保存の方法

清潔な容器に入れて冷蔵庫で保管して、5日程で使い切ってください。

すぐに使わない場合は、冷凍保存が可能。

まとめて作って、数百mlずつ(ご自身の食生活に合わせて)小分け冷凍しておくと便利です。

洋風野菜だし ベジタブルストック
自家製 洋風野菜だし。コクタイプ。
それでは、レシピカードをどうぞ。
洋風野菜だし ベジタブルストック

洋風 野菜だし(ベジタブルストック)

「コクタイプ」と「あっさりタイプ」
同じ材料で作る風味の違う2つのタイプの野菜だし。
用途によって使い分けることで、料理の幅が広がります。
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基本だし
洋食
グルテンフリー
調理時間 : 1 時間 30
出来上がり量 :  1500 ml (およそ)

 材料

  • 玉ねぎ (250gくらい) 大1
  • 人参 (180gくらい) 中1
  • セロリ (茎120-150gくらい) 1~3
  • 冷蔵庫の余り野菜 (詳細は本文参照) あれば 適量
  • にんにく (約15g) 2~3 かけ
  • オリーブオイル 大さじ
  • 小さじ
A.
  • (2200g) 2.2 リットル
  • トマトペースト (6g) 小さじ
  • ローリエ 1~2
  • 粒黒コショウ (約3g) 小さじ
フレッシュハーブ
  • イタリアンパセリ (5-6g) 3~5
  • タイム½ (1-2g) 1~2

 手順

コクタイプ
  • 野菜を適当な大きさ(1.5~2㎝角くらい)に切る。
    にんにくは3㎜程度の薄切りにする。
  • 厚手の鍋を中火にかけオリーブオイルを熱してから、野菜を炒める。
    鍋底に野菜が焦げ付きだしたら大さじ1杯程度の水(分量外)を加えて、焦げをこそげ取るようにして炒め続ける。水が蒸発して再度焦げ付いたら、同じく水を加え、この作業を繰り返えす。
    ※程良い焦げは味に深みを与るので、あえて少々焦げ付かせてください。
  • 玉ねぎが程よい茶色に色付いてきたら(ここまで10~15分)ニンニクを加えて更に2~3分炒める。
  • Aを加えて、強火にする。
    沸騰したら、弱火~とろ火にして45分煮る。
  • フレッシュハーブと塩を加えて、さらに15分煮る。
    合計で1時間煮たら、火を止め蓋をして完全に冷めるまで置いておく。
  • 濾し布やナッツミルクバッグなどで濾し、野菜に含んでいるだしもしっかりと絞り出して、完成!
あっさりタイプ
  • フレッシュハーブと塩以外のすべての材料を鍋に入れて強火にかける。
    【注意!】あっさりタイプでは、オリーブオイルは使わず、水は1.8リットルに減らす。
  • 沸騰したら、火を弱め(弱火~とろ火)20分煮る。
    その後、フレッシュハーブと塩を足してさらに10分。
  • 合計30分煮たら火を止め蓋をして、完全に冷ます。
  • 濾し布やナッツミルクバッグなどで濾し、野菜に含んでいるだしもしっかりと絞り出して、完成!

  コツ・ポイント / その他の追加情報 

♦野菜・ハーブは大きさによって、重量が大きく異なります。目安の重さも記載しているので、参考にしてください。
♦上記分量で出来上がり量約1.5リットルとしていますが、火加減等により大きく異なる場合があります。
♦このだしには、塩で薄味をつけています。お好みで調節ください。
 
フレッシュハーブをドライハーブで代用する場合の目安:
  • イタリアンパセリ 大さじ1/2
  • タイム 小さじ1/2 
 
※冷却時間は、調理時間には含まれておりません。
このレシピを作ったら…

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xoxo Lily